山好き男の登山奮闘記

古い新しい問わず様々な山行を徒然なるままに記す山行駄日記

【羅臼岳〜硫黄山1泊2日】世界1位のヒグマ生息地を歩く知床連山縦走(後半)

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知床連山縦走の後半は二ツ池キャンプ地から硫黄山に登りカムイワッカ湯の滝に下山します。1日目に負けず劣らず密度の濃い山行となりました。

【2日目 二ツ池キャンプ地〜硫黄山カムイワッカ湯の滝】

二ツ池キャンプ地〜知円別岳 

2日目は4時00分に起床、出発の準備を進め日の出を待ちます。日の出を待ったのは、景色を楽しむためでなく、明るくなってからでないとヒグマにばったり出くわすのが怖かったからです😅

2日目も天気は良さそう!体は疲れてますがテンションが上がります!

知床での日の出。2日目も頑張ろう。

テントに全く結露がなく、カラッとした気持ちのいい朝です。朝ごはんを食べテントを撤収し、2日目の目的地、硫黄山に出発!

南岳に向かう稜線

テント場を出発してすぐはハイマツ地獄ですが、南岳に登る稜線は岩陵帯でした。

南岳山頂。これから歩く稜線がよく見える。

2日目最初のピーク、南岳に到着。

南岳から二ツ池を眺める

テント泊した二ツ池が見えます。それにしても綺麗な緑の山々です。

今から歩く稜線。まだまだ先は長い。

今から向かう知円別岳。砂の質が変わり白くなっている。

虹だ!

すると…目の前に虹が🌈知床がこれからの山行を応援してくれているような、そんな感じがしました。

視界が悪いと迷いやすいらしい。杭が登山道の目印。

南岳を越えるとザレ場のような場所に一旦変化。広い稜線のため道迷い防止のための杭が等間隔に打たれているので、それを目安に進みます。

広がるハイマツ帯

ザレ場を過ぎると再びハイマツ帯に戻ります。

素晴らしいハイマツの大地

こんな景色、本州にありますか?ハイマツの緑の大地が本当に綺麗です。でも見た目とは違い歩くのは大変ですが…

長閑な草原も少しある

こんな長閑な草原の様な場所もあります。

この中を歩いてきた

知円別岳の入口に到着。休憩しながら来た道を振り返る。ハイマツが深いな〜

トラバースする道も細い

最初は細い登山道で知円別岳をトラバース。砂地で滑りやすく慎重に進みます。

最大の難所となった「中の廊下」

知円別岳のヤセ尾根。ザレて左右が鋭く切り落ちたナイブリッジで別名「中の廊下」と言うらしいです。ここを通って硫黄山に向かいます。実はここが私には今回の山行中で最大の核心部であり、最も恐怖した場所でした😱

滑りやすく細いナイフリッジ

おそらくここは風の通り道なのでしょう。今までほとんど風がなかったのに、ヤセ尾根に立った瞬間…ものすごい爆風!しかもずーーーと爆風が吹き続け全く弱まらない!こんな風の中、この細いヤセ尾根をとても歩けない…恐怖で立ちすくんでいると…

同行者「道があってるなら止まってないで、早く一気に行ってよ」…はい、私よりやっぱり肝が座っていています。

ラッキングポールを地面にさし、重心を低くしながら一歩一歩進みなんとか通過😩本当に生きた心地がしなかった…ヒグマ以外にこんな強敵がいたとは予想外でした。

実は廃道となってますが、迂回路として二ツ池から南岳に向かわず、硫黄平から第一火口キャンプ地に抜けるルートもあり、風が強い時はそちらを通る人もいるという記事を読みました。そんなルートあったかなぁ…気づきませんでした。

知円別岳〜カムイワッカ湯の滝

なんとか恐怖の「中の廊下」を抜け、最後の目的地、硫黄山に向かいます。

強風がすごい。どこに行ってもハイマツがある。

溶岩の岩陵帯を越えていく。どこに行ってもハイマツがあるなぁ。とにかく風が強い!

この景色を見れば疲れも吹っ飛ぶ

途中で羅臼岳方向を見るとすんごい景色!なんて壮大な自然なんだろう!

2頭の親子クマ。こっちに気づいているかなあ?

歩きながら左方向を見ると岩陵帯で2頭の親子クマが日向ぼっこ。気持ちよさそうだなー

山を駆け登る3頭の親子クマ

右方向をみると親子クマ3頭が山を駆け登っていく。

こっちに気づいていると思うが、
全く意に介していない。

なんだかクマを見ても驚かなくなってきた。やっぱり北海道のクマは馬鹿じゃない。全然近づいてこないです。

黄山の山容

ようやく最後の目的地、硫黄山に取り付いた!実は私はすでにもうクタクタ。硫黄山は回避してもいいかなと思い、優しさを見せるフリをして同行者に「疲れてるなら硫黄山は登らなくてもいいよ」と声を掛ける。答えは…登る。よし最後の力を振り絞って硫黄山にアタックだ!ヒグマ対策で食料だけアタックザックに移し、ザックをデポして硫黄山を登っていきます。

岩に描かれた道標

北海道の山でよく見かける岩に描かれた道標。他の山でも見たので、北海道のスタンダード?

黄山の山頂

やったー!最後の目的地、硫黄山に到着だ!疲れたけど嬉しいー!

黄山に登ってよかった!さいこうー!

今まで歩いてきた道のりが一望できます。

秘境知床岳

さらに奥地の知床岳が見えます。いつか登ってみたいけど、無理かなぁ…

黄山から見える国後島

国後島もバッチリ見える。本当に日本の北端にいるんだなーと思うと感慨深くなります。

硫黄沢を下る

山行も終盤、いよいよカムイワッカ湯の滝に向けて下山を開始します。稜線から離れ、今は涸れている硫黄川跡の沢を下っていきます。

涸れた滝跡

崖のような涸れた滝跡がいくつもあり、迂回しながら沢を下っていきます。

この登山道は、両側が切り立つ林になっている深く狭い沢で一本道になっています。もしヒグマに遭遇すると逃げ場がなく、道を塞がれることになります。ここまで来て今さら引き返すわけにもいかないので、ヒグマが移動するのを待つしかありません。

案の定ここで2頭のヒグマに遭遇。1頭目はすぐに林の中に入って行きましたが、困ったのが2頭目。私たちが進む先の岩の上にできた水溜まりで、のんびり水浴びをしてくつろいでいます😓

「お願いだから通らせて、通るだけだから」とヒグマに念じ祈り🙏ながら待つこと約5分…ヒグマがすっーと立って林の中へ!気持ちが通じた?「ありがとう、通るだけだからねー」とお礼を繰り返しながら無事通過することができました。

※余談ですが、硫黄山登山口から訓練のため登ってきた北海道警の山岳救助隊が同じ場所でヒグマに遭遇、1時間待っても動かなかったため、やむなく下山したそうです(木下小屋オヤジさん談)。私たちは運が良かったかもしれません。

このロープが見えたら沢を登る

このロープが沢の終点です。ようやく沢を下りきりました。ここから少し登り返し新噴火口へ向かいます。この辺りで完全に私のスタミナが尽きてきて、登り返しが辛いこと、辛いこと…最後の気力を振り絞ります。

ここでちょっとしたハプニング。茂みの中を登り返していると、前からガサガサッと音が…と黒い影が目の前に、やばいクマだ!やってしまった!と思ったら硫黄山登山口から登ってきた登山者でした😮‍💨羅臼岳を離れてから初めて人に会いました。まじでびっくりして心臓が止まりそうでした😂

新噴火口

再び始まったハイマツ地帯を通って、ようやく新噴火口に到着。ここは携帯電話の電波が入ります。ここでタクシーを予約したウトロ観光ハイヤーに下山時刻を連絡します。ウトロ観光ハイヤーからもここで必ず連絡するように指定されていました。ここからカムイワッカ湯の滝まで約1時間です。

黄山登山口

最後の長い九十九折の登山道を下り、硫黄山登山口まで下山しました!

ゲートを出るとカムイワッカ湯の滝駐車場

ゲートを抜けた先にあるカムイワッカ湯の滝の駐車場に予約したタクシーが待っています。そこまで砂利道を歩いて無事生還!やったー!精魂尽きたけど無事歩ききりました!うれしいーー!

下山後

嬉しかったのがタクシーの運転手さんが水を入れて凍らしたペットボトルを用意してくれていたこと。カラカラに乾いた喉に最高に美味しかったーありがとうございました!

タクシーで木下小屋まで戻り、オヤジさんに下山を報告。9頭のヒグマに遭った話をすると、それはかなりの数だなと驚いていました。私たちと話すオヤジさんの表情を見ると、縦走を完遂し戻ってきたことで認められたような、そんな感じがしてなんだか嬉しかったです。登山者を見守る厳しくも優しいオヤジさんでした。

日帰り温泉

お楽しみの下山後の温泉は、隣の知床秘境の湯「地の涯」の日帰り温泉へ(1000円)。エメラルドブルーの温泉でまさに秘湯、登山後の温泉は最高ですよね!

秘境知床の宿 地の涯 | 泊まれる世界自然遺産、北海道の美食と温泉がここに

豪華三色海鮮丼を食す!

温泉で汗を流した後は、せっかくの北海道ということで近くにあった「かにや ホロベツ店」で豪華三色海鮮丼を食す!

撮り忘れたのでネットから。
豪華三色海鮮丼。贅沢だなー

頑張ったご褒美と旅に来たらお金を使う時は躊躇なく使う!ということで、かに、いくら、うにの豪華三色海鮮丼3600円なり!値段なんか関係なし、美味しかった〜

かにや ホロベツ店 - 斜里町その他/かに | 食べログ

【登山を終えて】

初めての北海道遠征が知床連山縦走。アグレッシブな計画すぎて不安ばかりでした。でも事前に情報収集し準備を整えヒグマ対策も勉強して臨んだ山行は、他に変えることのできない貴重な経験と過去1番の達成感を味わえた忘れることのできない最高の山行となりました。登山というより冒険、ヒグマとの出会い、果てしなく続くハイマツの大地、険しい山々、不安と高揚感で過ごしたテントでの夜、広大な自然。今でも鮮明に思い出すことができる素晴らしい経験。初めてのブログは、この山行を書こうと決めていました。もし読んでくださる方がいれば、ぜひ知床連山縦走に挑戦してほしいです!

最後に、アグレッシブな山行に誘ってくれた同行者に感謝です。

前半はこちら↓

masa-uw.hatenablog.com

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