自分の山行記録を残してみたいと思いブログを始めました。新しい古いを問わず様々な山行記録をアップしていきたいと思っています。
第一回は思い出の山行「知床連山縦走」を紹介します。
百名山制覇を目指すだけなら羅臼山だけという選択肢もありですが、それでは北海道まで来た意味がない!ということで、2023年8月31日から1泊2日で、世界一のヒグマの生息地である知床で羅臼山から硫黄山までテント泊縦走に挑戦してきました。
【アクセス】
帰り:硫黄山登山口からカムイワッカの湯の滝の駐車場まで歩き予約したタクシーで木下小屋へ
※ウトロ観光ハイヤーを利用
事前に予約するとカムイワッカ湯の滝駐車場まで来てくれる。カムイワッカ湯の滝から木下小屋まで8000円。携帯電話の電波がある新噴火口で必ず下山時刻を連絡すること。
https://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/rule_1/files/rule_rausuko.pdf
【コース】
距離:22.3km 累積標高:上り2402m 下り2385m
1日目:9時間00分
木下小屋(5:40)→極楽平(7:40)→羅臼平(9:30)→羅臼岳(10:20)→羅臼平(11:15)→三ツ峰キャンプ地(12:15)→サシルイ岳(12:55)→二ツ池キャンプ地(14:40)テント泊
2日目:6時間50分
二ツ池キャンプ地(5:10)→南岳(6:05)→知円別山(7:25)→硫黄山(8:45)→新噴火口(10:40)→硫黄山登山口(11:45)→カムイワッカの湯の滝(12:00)
【登山前日】
羽田空港から女満別空港までは飛行機で移動。女満別空港からは、事前に予約したレンタカーで羅臼山の登山口にある木下小屋に向かいました。
飛行機での遠征は初めてで戸惑うことばかり。トレッキングポールは3段式でザックの中に入れたり、ライターは機内へなどホームページを見ながら持ち込めるもの選別しました。
飛行機に持ち込めないもの お出かけ前に確認を! | 政府広報オンライン
特にガス缶は持ち込めないため、木下小屋に向かう途中にあるモンベルオホーツク小清水店に立ち寄りガス缶を購入。また途中のスーパーで夕食や食料や飲料水を買い出ししてから木下小屋へ向かいます。
木下小屋
素泊まりのみ 2500円(当時)※寝具、食事なし、寝袋持参の必要あり
前泊で利用したのは木下小屋。要は寝るだけの山小屋です。しっかりとした宿泊施設が希望なら、隣に「地の涯」というホテルがあります。
私たちはテント泊予定なのでシュラフはあるし、安さ優先がコンセプトだったこともあり、迷わず木下小屋を利用しました。簡素ですか露天風呂もあり入浴することもできます。
木下小屋のオヤジ
スキンヘッドの名物オヤジ。気難しく取っ付きにくい印象ですが、打ち解けると登山者を暖かく見守っている優しいオヤジさんです。私はいきなり車の駐車の仕方を注意され、車中泊で駐車していた隣の車を追っ払っていました。(笑)テント泊縦走をすると伝えると「こいつら大丈夫か?🤨」と値踏みされ明らかに不合格の顔でした😅
ヒグマ対策
何をおいても最大の不安要素がヒグマ対策でした。もしもの時の熊スプレーは木下小屋で24時間1000円でレンタルしており当然借りることにしました。
私達は2人パーティだっため、2本借りるつもりでしたが、「1本で十分だ、お前が持て!」とオヤジさんに言われ1本しか貸してもらえず…😅
ヒグマ用のスプレーは、ツキノワグマ用とは違いかなり強力で武器になるため、オヤジさんから使い方や注意事項ついてかなりしっかりと説明がありました。しっかり当てるなら約2mくらいは近づいてから使う必要があります。
熊スプレーはあくまで最終手段で、イメージは警察官の拳銃使用と同じ感じ。できることなら使わないように事前にできる対策をとることが重要だとわかりました。現にオヤジさんが小屋番になって7、8年になるが使った例はないとのことでした。
続いてヒグマ対策について、オヤジさんから色々とレクチャーも受けました。
- 北海道のクマは馬鹿じゃねえ、向こうから人間には近寄ってこないよ
- とにかくヒグマとの偶発的な遭遇を避けろ。音を出すなりして自分の存在を知らせろ
- もしヒグマに遭っても悲鳴をあげたり大きな声を出してヒグマを驚かすな。静かにゆっくり離れろ
- 食料は必ずフードロッカーに入れろ。テント、フードロッカー、食事場所をそれぞれ50m離せ
とにかくヒグマと出会い頭になることは避けようと、熊鈴、ラジオ、笛、歌うなど常に音を出して自分の存在を知らせるように心掛けました。
私は正直かなりクマにビビってましたが、オヤジさんの言葉「北海道のクマは馬鹿じゃねえ」を心の中で繰り返し呟き、大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせながら終始歩いていました。
水の確保
縦走路にも水場はありますが、事前情報では全て要煮沸、それどころか水が出ているのかもわかりませんでした。しかも夏で汗をかくということで心配症の私は5ℓを背負っていくことに。でも結局足りず最後に同行者から水を少し分けてもらいました😅
【1日目 木下小屋〜羅臼岳〜二ツ池キャンプ地】
木下小屋〜羅臼岳
4時30分に起床して準備をし、5時40分ころ木下小屋を出発。小屋の裏にある羅臼岳登山口から登山道に入ります。北海道だから涼しいかと思いきや暑い暑い🫠北海道では珍しく熱中症アラートが出るくらいの気温でした。
まずは樹林帯の中を登ります。標高230mから1660mまで登るので、それなりに急登ですが、これから始まる冒険のワクワク感でモチベーションはMAXです!なんだかんだでヒグマにも遭わないだろうとたかをくくってましたが…
羅臼岳まで残り5.9km地点に到着。
写真の撮り方が下手なだけで、もう少しオホーツク海が綺麗に見えます。
最初の水場である弥三吉水に到着。それなりに水が出ていました。基本的に全ての水場は要煮沸とのことですが、木下小屋のオヤジさん曰く「この時の弥三吉水は煮沸しなくても大丈夫」とのことで水を補給しました。(自己責任で飲むこと)
鬱蒼とした樹林帯を進む。ここまでは北海道感が全くない。
極楽平に到着。少し空が見える場所に出ますが、すぐに樹林帯に戻ります。
2つ目の水場、銀冷水。この時は水が少し流れていたが要煮沸。
樹林帯を抜け、谷間のような登山道を登っていく。あんなに晴れていたのに、ここに来て雲が湧きガスってきてしまった😩
ここで羅臼岳から戻ってきた人とすれ違う。この時、恐れていた情報を告げられる。
「少し上にクマがいたから気をつけて!」
やばい遂にきた…そういえば新しいクマの糞らしきものを何回も見かけている。
やっぱりいるんだと緊張感が一気に高まりました。
羅臼平に到着。ガスって何も見えない。
4つあるキャンプ地の1つ羅臼平キャンプ地。もちろんフードロッカーもあります。
ザックをデポ(食料はフードロッカーに入れる)して羅臼岳に向かいます。
最初は緩やかなハイマツ帯を登り、後半は岩登りとなります。ガスがすごい…
羅臼平から50分ほどで羅臼岳に到着。綺麗にガスって何も見えねー😭
羅臼岳〜二ツ池キャップ地
ここまでは序章。ここから本当の冒険の始まりです。三ツ峰を越えて今日の宿泊地二ツ池キャンプ地を目指し出発します。
羅臼岳から下山して羅臼平で準備をしていると、ガスがどんどん晴れていき、目の前に三ツ峰の壮大な景色が広がります。北海道での初めての壮大な景色にテンションは上がりまくりです!
すると…今から向かうコースの方向に登っていく黒い物体が…ヒグマだ!これが初めて見たヒグマでした。よりによってなんで今から向かう方向に…と思いつつ、ここから先は登山者があまり入らない場所、ヒグマ達の棲家なのだと改めて気を引き締めなおし出発です。
背丈ほどもらあるハイマツの間を掻き分けながら進む。ハイマツを掻き分けるたびに変な小さいが飛び回るのが煩わしい!ハイマツが深く視界が効かないのでヒグマが出てきやしないかビビりまくりでした…
三ツ峰を登りきり谷間を下ろうとすると…正面に2頭目となるヒグマが岩の上に…
さっきとは違い、ヒグマがバッチリ見えます。ツキノワグマより厳つくて迫力がすごい!距離があったので、オヤジさんの教えの通り静かにゆっくり驚かさないように横を通り過ぎる…
ヒグマが追ってこないのを確認しながら三ツ峰キャンプ地へ向けて先を急ぎます。それにしても素晴らしい景色!
三ツ峰キャンプ地に到着。意外と狭い印象で7、8張くらいは張れるかなぁ。
水場がありますが、この時は全く水が出ていませんでした。
ハイマツを掻き分けながら次のポイント、サシルイ岳に向かいます。それにしても強力なハイマツだ!
サシルイ岳に到着。目の前にそびえるのが三ツ峰。三ツ峰の真ん中の黄緑の場所が三ツ峰キャンプ地です。羅臼岳だけ雲がかかっています、不思議だなぁ。
これから向かうオッカバケ岳、その奥に知円別岳が見える。
もちろんオホーツク海も広がる。360度の展望にうっとり!
サシルイ岳とオッカバケ岳の中間地点であるミクリ沼で小休止。休憩しながらサシルイ岳を眺める。
本日最後のピーク、オッカバケ岳。これを越えると宿泊地の二ツ池キャンプ地があります。もう精神的にも体力的にもクタクタですが、もう一踏ん張りキャンプ地を目指して出発します。
ヘトヘトになりながらオッカバケ岳に到着。
サシルイ岳が綺麗だなあ…右下の方に見える沼が休憩したミクリ沼。
よくやく今日の宿泊地、二ツ池キャンプ地が見えた!
やっと着きました二ツ池キャンプ地。長かったー
ここがテント場。詰めれば7、8張は張れそう。今日のテント泊は私たちだけ。ということは、知床国立公園を貸し切りだ!
テント場と離れた場所にフードロッカーがある。全ての食料をここに入れました。
二ツ池に向けてテントを設置。食事はオヤジさんの教えどおりテントから50m離れた場所で、またなるべく臭いの少ないものを選びました。食事後は18時30分には早々に就寝。ただ心細さもありラジオは一晩中鳴らしながら寝ることにしました。
でも私はすぐには寝つけませんでした。数百頭いるだろうヒグマ達に囲まれて、広大な知床の自然の中にいる人間は自分たちだけ。夜に強くなった風の音を聞きながら、テントに寝転んでそんなことを考えていると、なんだか不思議な感覚になり気持ちが高揚したのを覚えています。その不思議な感覚は今でも鮮明に思い出す事ができます。
明日は無事に下山できるといいな、なんて考えていたら、疲れてはいましたが結局熟睡はできませんでした。同行者はしっかり熟睡したようで私と違い肝が座っているようです😅
2日目は硫黄山に登りカムイワッカ湯の滝へ下山します。(後半へ続く)
後半はこちら↓